建築🏘️ 国産材で非住宅は建てられる?
2025年7月17日 更新
目次
【はじめに】
「せっかく木造で建てるなら、国産材を使いたい」
「でも非住宅には無理なんじゃ…?」
そんな声をよく聞きます。
たしかに、学校・オフィス・倉庫などの非住宅建築は、住宅よりも構造強度・安定供給・コスト
バランスが求められる分野。
そこに国産材を使えるか? 今回はその「リアル」を多角的に検証します。
【1】国産材ってどんな木?どこで育っている?
日本の森林資源の約40%は人工林。
その中でも建築用として使われるのが、主に以下の針葉樹です:
・スギ(主に九州・中部・東北)
・ヒノキ(主に中部~西日本)
・アカマツ・カラマツ(主に北海道・東北)
これらは住宅用だけでなく、中大断面に適したサイズにも育ちつつある材が増えています。
【2】性能面ではどうなの?非住宅に耐えられるの?
実は、国産材でも「構造用JAS材」や「集成材」なら非住宅にも十分対応可能です。
性能項目 | 国産材 | 海外材(米松など) |
---|---|---|
強度(ヤング係数) | 種類・等級により変動 | 比較的安定して強い |
耐久性(乾燥・防腐) | KD材・処理材で対応可 | 同様に加工対応済み |
寸法安定性 | 乾燥・加工精度に依存 | 高度に乾燥・安定している |
等級制度 | JAS制度あり(数値設計可能) | JAS・北米規格あり |
つまり、JAS認定の国産材であれば設計計算にも組み込めるため、性能面では大きな不安はありません。
【3】供給面はどう?安定して手に入る?
ここが一番のハードル。
・産地や製材所によってバラつきがある
・中大断面(150×450など)の安定供給はまだ限定的
・プレカット対応まで一貫してできる工場は限られる
👉 だからこそ、岡本銘木店のような中継拠点が重要。
「設計→材手配→プレカット→施工サポート」まで中大規模木造を支えるプレーヤーが
求められています。
【4】コストは高い?安い?
意外と多いのがこの誤解。
・一般的には「国産材=高い」と思われがち
→ でも実際には…
・運賃コストが安い(特に関西圏でのスギ・ヒノキ)
・為替や輸入リスクの影響を受けにくい
・地域材活用補助金が使える(後述)
👉 設計段階から国産材前提で組めば、十分“コスパ良し”の提案が可能!
【5】補助金を活用すればコストバランスが取れる!
代表的な制度(2024〜2025年度)
補助制度名 | 内容 | 対象 |
---|---|---|
都市木材需要拡大事業 | 国産材を使った都市部建築物に補助 | 中小施設・商業施設など |
JAS構造材実証支援事業 | JAS材活用による非住宅建築の実証 | 倉庫・工場・福祉施設など |
地域材利用促進事業(自治体) | 地場産材使用に対する奨励金 | 市町村ごとに異なる |
👉 国産材を使えば、単価は少し上がっても“実質的コスト”は抑えられるケース多数!
【6】岡本銘木店での活用実例
・ロードサイド店舗の外壁・下地に国産スギ材を採用
→ 柔らかな印象・地域景観との調和を評価され採用
・小規模倉庫でヒノキ柱材を活用
→ 中大断面の集成材が設計数値にマッチ、施工もスムーズ
【まとめ】
「非住宅建築に国産材は使えない」
――そんな時代はもう終わりつつあります。
✔ 性能:JAS材であれば構造設計にもOK
✔ コスト:補助金活用で実質コスト低減可能
✔ 供給:設計段階からの相談で安定供給可能に
そして何より、日本の林業・地域経済に貢献できる選択肢でもあります。
非住宅の木造化を進めるなら、「国産材」の可能性も選択肢に入れてみませんか?
最後までお読みいただきありがとうございました。