建築非住宅木造建築 在来軸組工法での検討ポイント・配置計画・流通材の採用
2025年5月13日 更新
目次
工場案件で長手方向70m、短辺方向40m、幅8m×高さ3.5mの開口部2カ所というサイズ感になります。この案件を在来軸組で構造検討する際のポイントについて説明します。
1.配置計画からの構造検討
工場のサイズが70m×40mとなります。出来るだけ柱や壁を少なくして広い空間を確保できるように考えるのですが、40mというスパンを飛ばす方法を検討すると「トラス」というのが考えられます。木造トラスで40mスパンを飛ばせるのか???可能といえば可能です。。。が使用木材が大きくなり、トラス形状も複雑になり、木造のメリットはあまりないかもしれません。
そこで「本当に40mスパンを飛ばす必要があるのか?」と考えます。工場の使用用途により、柱や耐力壁を工場内部に配置することが可能になれば、わざわざ40mスパンを検討するのではなく、例えば中間の20mの位置でジョイントすることも可能となります。今回は設置するプレカット加工機の配置や木材保管スペースを検討することで、中間部20mに耐力壁を設置してトラスをジョイントすることになりました。
大事なことは建築物の使用用途や内部配置計画まで考慮することが、本当に必要な有効高さやスパンを設定することになり、無駄の無い構造計画が検討できるということです。
2.流通材の利用でコスト抑制
無駄の無い構造計画は木材の有効活用にも繋がります。構造用集成材であれば10mを超える構造材を製造することは可能です。でも10mの木材は流通品ではなく特注材となります。そうなるともちろん木材費のコストは大幅にアップします。逆に流通材と言われる長さ6m以下、幅120㎜以下、材高さ390㎜以下であればコストも抑制されて木造のメリットが発揮されます。
1.で記述した20mスパンをトラスで検討した際には、最大断面120×330で長さ6mまでの構造用集成材を採用しました。さらにトラス間は@4mで配置することで、トラス間の繋ぎ材も120×180×4mという流通材を多用してコストメリットを出しています。唯一、特注材を使ったのは間口8mの開口部まぐさで、120×660×8mの構造用集成材を使いました。
3.補助事業の利用で木材費の還元
日本農林規格JASに該当するJAS構造用集成材を使うことで、補助金が還元されるという補助事業が施行されることもあります。こういった補助事業を活用することも非住宅木造建築ならではのメリットになります。
有効高さ・スパンの設定、流通材の活用と補助業の利用により非住宅木造建築物の良さが広がっていきます。しっかりと情報収集して木材利用を進めていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。