建築木造倉庫にホイストは設置できるのか?!
2025年7月9日 更新
目次
木造倉庫へのホイスト設置について
木造倉庫にホイストを設置することは可能ですが、安全性と構造健全性を確保するためには、いくつかの重要な考慮事項があります。
1.構造計算と補強
最も重要な点は、倉庫の構造計算を必ず行うことです。ホイストが吊り上げる最大荷重(定格荷重)に加えて、ホイスト自体の自重、走行装置の自重、そして荷役作業中に発生する動的な力(衝撃荷重や横荷重)が、倉庫の梁や柱にどのように作用するかを詳細に計算する必要があります。
・梁の補強: 既存の梁に添え梁をしたり、より断面の大きな梁に交換したりすることが考えられます。集成材やLVL(単板積層材)といった高強度木材の使用も有効です。
・柱の補強: 梁からの荷重を確実に地面に伝えるため、柱の断面を大きくしたり、鋼材などによる補強が必要になることがあります。
・基礎の確認: 柱からの荷重が増加するため、基礎がその荷重に耐えられるかどうかの確認も不可欠です。必要であれば基礎の補強や増設も視野に入れる必要があります。
・接合部の強化: 木材同士の接合部は、荷重が集中しやすく、非常に重要な部分です。適切な金物を用いて、せん断力や引抜き力に耐えられるよう、接合部を強化する必要があります。
2.ホイストの種類と選定
木造倉庫に設置するホイストの種類も重要です。
・定格荷重: 吊り上げる最大の荷物の重さに合わせて適切な定格荷重のホイストを選びます。
・走行方式: 一般的には、天井走行クレーンやジブクレーンが考えられます。天井走行クレーンは広範囲の荷役が可能ですが、倉庫全体にわたる走行ガーダーの設置が必要です。ジブクレーンは特定範囲での荷役に向いており、片持ち式のため構造への負担を抑えられる場合があります。
・速度: 荷物の種類や作業内容によって、適切な吊り上げ・走行速度を選びます。
3.ホイストレールの設置方法
・トラス間の繋ぎ材から吊る
・トラスから吊る
・柱にブラケット設置
以上、検討事項はありますが、木造倉庫でもホイスト設置は可能ということがお分かりいただけたかと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。