木材木の香りが、心にも体にもリラックス効果があることが分かってきました
2025年6月11日 更新
目次
ヒノキやスギから放たれる独特の香りは、私たちに心地よさをもたらすだけでなく、科学的にもそのリラックス効果や抗菌効果が証明されています。この香りの源は、樹木が自らを守るために生成する「フィトンチッド」と呼ばれる揮発性物質群です。
1.ヒノキの香りの効果とリラックス効果
ヒノキの香りは、嗅覚を介して脳に直接働きかけ、心身のリラックスを促すことが多くの研究で示されています。特に、脳波の変化に着目した研究では、ヒノキの香りを嗅ぐことでリラックス時に出現するα波が増加し、集中時や覚醒時に出現するβ波が減少することが報告されています。これは、ヒノキの香りが自律神経系に作用し、心拍数や血圧の低下、副交感神経活動を促すためと考えられます。ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制する効果も示唆されており、精神的な疲労の回復やストレス軽減に寄与すると期待されています。ヒノキ風呂に入ると心が落ち着く、といった感覚は、このリラックス効果によるものです。
2.ヒノキの抗菌効果
ヒノキの木部には、ヒノキチオールという特有の抗菌・防カビ成分が含まれています。ヒノキチオールは、多種多様な細菌に対して強い抗菌活性を示すことが知られており、大腸菌、黄色ブドウ球菌など、人間に有害な微生物の増殖を抑制する効果が確認されています。この抗菌作用は、微生物の細胞膜にダメージを与えたり、酵素活性を阻害したりすることによって発揮されると考えられています。そのため、ヒノキ材はまな板や風呂桶など、衛生面が重視される場所で利用されてきました。ヒノキの香りの拡散によって、空気中の微生物の活動を抑制し、空気を浄化する効果も期待できます。
3.スギの香りの効果とリラックス効果
スギの香りもまた、ヒノキと同様にリラックス効果をもたらします。セドロールは鎮静作用を持つことが知られており、この成分がスギの香りのリラックス効果に寄与していると考えられています。森林浴の際にスギ林を歩くと心が安らぐように、スギの香りはストレス軽減や安眠効果をもたらす可能性が期待されています。不眠症の改善や気分の安定にも効果が期待されており、アロマセラピーなどにも利用されています。
4.スギの抗菌効果
スギの香り成分もまた、抗菌作用を有しています。特に、カビやダニの増殖を抑制する効果が注目されており、住宅の建材としてスギが用いられる理由の一つにもなっています。スギ材は、その香りがダニの忌避効果を持つことも報告されており、アレルギー対策としても有効である可能性があります。また、スギ材の調湿作用と相まって、室内の空気環境を良好に保ち、微生物の繁殖を抑える効果も期待できます。
まとめ
ヒノキやスギの香りは、フィトンチッドという天然の化学物質群がもたらす恩恵であり、そのリラックス効果と抗菌効果は科学的にも裏付けられています。これらの香りを生活に取り入れることは、私たちの心身の健康維持に大きく貢献すると言えるでしょう。森林浴はもちろんのこと、ヒノキ・スギ材を用いた建材や家具を取り入れることで、自然の恵みを享受し、より豊かで健康的な生活を送ることができます。
最後までお読みいただきありがとうございました。