建築非住宅木造建築と大空間
2025年3月19日 更新
目次
非木造住宅建築において大空間を確保するためには、構造的な工夫や適切な設計手法が重要です。木造で大スパンを確保した事例を交えてみていきます。
1.トラス構造
トラス構造は、大スパンを実現しながら、デザイン性・環境性能・施工のしやすさを兼ね備えた優れた技術 です。
特徴としては、、、
・軽量かつ高強度・・・三角形(上弦材・下弦材・斜材)の構造で荷重を分散し、強度を高める
・大スパンを実現・・・10m以上の柱なし空間を作れる
・デザイン性が高い・・・美しい木組みが内装デザインとして活かせるため、屋根の形状や天井のデザインに合わせて設計が可能
・施工が容易・・・プレカット技術で工期短縮、輸送コスト削減
・接合部の工夫が必要・・・木造トラスは金物接合が一般的。ボルト・プレート・ビスなどを使用して強度を確保する。適切な接合方法を選ぶことで、耐震性・耐久性を向上させることができる。
弊社の丹波篠山工場では20mトラスを繋いで奥行き40mの切妻屋根になっています。そのトラスを4m間隔で17本設置して70mの間口として2,800㎡の空間となっています。使用木材は最大断面が120㎜×330㎜ですので、流通していて手配しやすい木材を使用していることも特徴です。
2.構造用LVLビストラスとTJI
厚み38㎜高さ505㎜の構造用LVLを3枚張り合わせたトラスにより、弊社の倉庫棟は18.2m×36.4m(662.48㎡)の無柱空間を実現しました。
トラスを構成する上弦材・斜材・下弦材の接合部はパネリードⅡ(Pii6)L=110(ビス)による接合となっています。1体のトラスに924本のパネリードⅡを打ち込んで組み上げています。
トラス間は9100㎜の間隔がありますが、TJIという木材で9100㎜の屋根パネルを組んでトラスに乗せて屋根を組み上げます。
TJIは鉄骨のI型ビームと同じ形状で、フランジには58㎜×35㎜LVL、ウェブには9.5㎜OSBで構成されています。最長12mまでスパンを飛ばせます。
木造で大スパンを確保する方法は様々ありますが、今回は弊社篠山工場と倉庫棟で採用した軸組トラス、LVLビストラスをご紹介しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。