news【海外視察レポート】岡本銘木店 専務が見たフンデガー社の自動加工技術と欧州木造建築の現場から
2025年7月7日 更新
独 Hans Hundegger AGの本社にて撮影
このたび、2025年5月31日~6月4日、オーストリアおよびドイツの木材関連施設・木造建築の視察に参加しました。
視察先では、木材加工機のリーディングカンパニー「フンデガー社」の最新モデル「K2-Industry」や、THEURL社の無人化された自動投入システムなど、先進的な生産設備を見学。また、ドイツ・ハイルブロンにおける木造コワーキングスペースや学校施設など、木造の可能性を生かした建築事例にも触れることができました。
専務による視察後のコメントでは、木造をコストではなく「価値」として捉える欧州の姿勢、そして視察中に得た横のネットワークの重要性についても語られています。
当社の加工技術や提案力向上にもつながる内容となっておりますので、ぜひご一読ください。
海外視察レポートは下記になります。
海外視察レポート
― フンデガー社の自動加工技術と欧州木造建築の現場から ―
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はじめに
2025年5月31日から6月4日までの期間、オーストリア・ドイツで開催された木材加工・木造建築の視察ツアーに参加しました。
本視察では、最新の自動加工技術を誇るフンデガー社や、先進的な木造建築を手がける欧州の現場を巡り、今後の非住宅木造建築や工場の自動化に向けた多くのヒントを得ることができました。
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【1】 フンデガー社(オーストリア本社)視察
フンデガー社は、木材プレカット機で世界的に知られるメーカーであり、自動化・高精度加工において最先端を走る企業です。
■ 加工機「K2-Industry」の特徴
- 動力源を電動化し、油圧式よりも緻密な加工が可能に
- 上下から同時加工できる構造で、加工精度とスピードを両立
- 設置スペースにも配慮した省スペース設計
■ 印字装置とCCMシステム
木材の5面(前後左右・下面)に自動印字可能で、現場識別がスムーズ
- 複数台のフンデガーを稼働させる場合、CCM(カンビオコンポーネントマネジメント)によって、加工機を自動選別・割当
■ BVM/BVXデータ運用
- 外部CADから受け取った図面データをBVMで読み込み、修正なしでそのまま加工指示が可能なBVXへ出力
- 設計から加工までを無駄なくつなぐ一貫体制が整っている
■ 小型ロボットドライブモデル
- コンパクトながらも高性能。限られたスペースでも導入可能な柔軟性
今後は新たな工場棟の建設も進められており、生産体制のさらなる拡充が見込まれています。
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【2】 THEURL社における実践例:自動投入システム
オーストリアの木材大手THEURL社では、フンデガー製の加工機を3台導入。自社開発による自動投入システムとの連携が見事でした。
- 材料ストックエリアから、天井クレーンが木材を自動供給
- 加工機の稼働状況に応じて材料供給先を自動で振り分け
- 無人での材料搬送が実現し、省人化と効率化を両立
- ユニバーサルチェーンソーにより、どの方向からでも複雑なカットが可能
現場のオペレーターは最小限に抑えられ、まさに「省人化工場」の完成形といえる構成でした。
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【3】 欧州木造建築の事例見学(ハイルブロンなど)
製造機器だけでなく、実際の木造建築にも触れることができたのは貴重な体験でした。
■ 木造コワーキングスペース(ドイツ・ハイルブロン)
- 約31m四方、5階建ての木造建築
- サステナビリティを重視し、「自然素材としての木」が選ばれていた
- オープンな空間づくりに木が調和
■ 木造の小中学校(統合校舎)
- 地域とつながる公共建築
- 軒天に木を使用するなど、構造だけでなく意匠としての木の存在感が強調されていた
■ 木造パビリオン
- 子どもがAIと触れ合う施設。木の温かみと未来的なテーマが共存
・木造倉庫
- 火災時の炭化による耐力保持性を活かした設計
- 25mスパンを飛ばすトラス構造など、大スケール木造の技術も実感
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今回の学びと今後の展望
視察を通じて得られた知見を、以下のように整理しました:
- 高度な自動化・無人化にはスケールと材料供給量が鍵
- 欧州では木造が前提条件として扱われるケースが増加中
- 「コストがかかっても木を使う理由」が明確に共有されている文化
- 木材利用がブランド価値や建築の差別化要素となっている
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専務コメントより
印象的だったのは、「コストを抑えるために木を避ける」のではなく、「あえて木を使う」ことが価値になっている点です。
内装木質化や混構造での活用など、一見手間がかかる分野でも挑戦することで、市場での優位性につながっていました。
また、視察を通じて全国の木材・建築関係企業とのネットワークも再確認・強化できました。特にランバー宮崎、篠原商店、ティンバラムの皆様から得た実務的なノウハウは、当社の受注・加工フロー改善に直結する貴重な知見となりました。
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おわりに
今回の視察で得た情報と出会いは、当社の次なる挑戦への強い後押しとなりました。今後も「木を使う価値」を伝えられる企業として、技術・提案の両面から邁進してまいります。
『 その構造 木造にしませんか? 』
社名:株式会社岡本銘木店
本社所在地:〒564-0001 大阪府吹田市岸部北5丁目32番1号
代表者:代表取締役社長 佐藤 朋子
設立: 昭和34年6月20日 (創業 昭和26年3月1日)
事業内容: 一般木材、銘木、集成材、住宅設備等の販売 / 美術欄間、彫刻品の加工 /
プレカット加工(在来工法・金物工法・SE構法の構造材、羽柄材、合板)/
モールディング(造作部材)/ 気密測定 / 各種工事(システムキッチン、ユニットバス、外壁等)/
瑕疵担保保険取次(株式会社住宅あんしん保証)
※ 住宅および非住宅木造建築(倉庫・工場、事務所、店舗、各種施設など)についてもご相談を承ります。
オカメイお知らせHP:https://okamei.co.jp/news/
ぜひこの機会に、岡本銘木店が取り組む木造建築の“今”をご覧ください。
工場見学・内覧のご相談も随時承っております。
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株式会社岡本銘木店 丹波篠山工場(木造にて建設中2022年撮影)
株式会社岡本銘木店 丹波篠山工場【建物はすべて木造】工場、倉庫、事務所棟(2025年6月全景撮影)
所在地:兵庫県丹波篠山市北378-1
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